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相続税改正 増税に備える(1)
目安を知れば怖くない
いよいよ平成27年1月1日より改正された相続税がスタートします。
今回は大幅な増税になるケースが増えるため、高い関心を集めています。
その証左として、新聞や雑誌では相続に関する記事が頻出し、相続関連のセミナーも頻繁に行われています。しかし、ややもすれば情報に振り回され、不安感のみが大きくなっている方も多いのではないでしょうか。
まずは、相続税について正しく理解し、相続税がかかるのか、かからないのか、そして、かかるとしたらどのくらいの金額かのイメージを持っておけば、落ち着いて考えることができると思います。
相続税の大まかな計算手順は次の3ステップになります。
1. 相続財産(課税遺産総額)の計算
2. 相続税総額の計算
3. 各人の納付額の計算
では、具体的に見てみましょう。
1. 相続財産の計算
第1段階として、相続税の対象となる財産の計算をします。
(1)相続する財産の計算
それぞれの財産を「時価」で評価し、合計します。上場株式等は取引所の時価、預金等は額面で評価すればよいです。 分かりにくいのは不動産の時価です。土地は「路線価」等により算出することになっていますが、目安は、毎年5月に送られてくる「固定資産税納税通知書」を見れば見当がつきます。土地、建物とも『評価額』欄が参考となります。 大まかな目安は、土地=『評価額』×1.2倍、建物=『評価額』です。マンションの場合は、市町村によって持分割合が考慮されていないケースもあるのでご注意ください。 また、生命保険金も相続財産とみなされますので注意が必要です。ただし、500万円×法定相続人の数の部分は非課税とされますので控除します。
(2)基礎控除額の計算
今回、改正された部分です。3,000万円+600万円×法定相続人の数となり、これを相続する財産から控除し、相続財産(課税遺産総額)が計算されます。
2. 相続税総額の計算
第2段階として、相続税総額を計算します。手順は次のとおりです。
(1)法定相続分に基づく遺産取得金額の計算
実際の遺産分割協議に関わらず、各相続人が法定相続分で相続したと仮定して遺産取得金額を算出します。たとえば、相続人が配偶者と子供2人の場合、配偶者は1/2、子供は1/4です。
(2) 上記で計算された各人の遺産取得額に対応する相続税の税率をかけます。
各人ごとに算出された税額を合計して相続税総額が計算されます。
3.各人の納付額の計算
最後に相続税総額を、実際の遺産分割協議に基づく分割割合に応じて配分し各人の納付額が決まります。
こうして計算される相続税額の一例は、相続する財産額5,000万円から1億円までのケースで以下のとおりです。
相続人が配偶者と子供2人の場合、配偶者控除考慮後
(上)相続する財産額 | (下)相続税額 |
---|---|
5,000万円 | 10万円 |
6,000万円 | 60万円 |
7,000万円 | 113万円 |
8,000万円 | 175万円 |
9,000万円 | 240万円 |
1億円 | 315万円 |
※法定相続分により相続した場合。 ※財産額は基礎控除を差し引く前の価格。
実際には、遺産分割協議の内容により相続税額は異なりますし、不動産の小規模宅地の特例制度などを適用して税額が軽減されるケースも多くあります。
弊社にご相談にいらっしゃるお客様の中にも、相続税の試算値をご提示すると、『その程度の金額で済むんですか?!』と拍子抜けされる方も多くいらっしゃいます。専門家に相談する前に大まかなイメージを持っておくとよいでしょう。情報があふれる相続税、正しいイメージを持っていれば、着実な対策が見えてくるのではないでしょうか。
※ この手順は目安を計算するためのもので、相続税額を正確に計算することはできません。実際の相続税申告にあたっては、税理士等の専門家にご相談されることをお勧めいたします。
掲載元リンク
公益財団法人生命保険文化センター http://www.jili.or.jp/kuraho/2014/essay/web07/web07.html