メディア掲載情報

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2022.02.02

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生命保険文化センター様のHPにて「確定申告の電子化」についてエッセイを執筆しました(2022.01)

確定申告の電子化

国は、2021(令和3)年9月にデジタル庁を創設し、社会全体のデジタル化を推進しています。そして、近年、税務の分野でもデジタル化・電子化の取組みが行われています。また、新型コロナウイルス感染症の感染リスクを軽減するため、確定申告においては税務署等への来訪を控える手段としても、パソコンやスマホを利用して申告する電子申告等が推奨されています。今回は、こうした確定申告関連の電子化について紹介いたします。

1.スマホによる確定申告の対象範囲の拡大等

所得税の確定申告は、国税庁のインターネットサイト「確定申告書等作成コーナー」から送信(申告書提出)を行うことができます。このサイトでは、スマホの普及に合わせ、2018(平成30)年分の確定申告からスマホ専用画面(スマートフォンで見やすい画面)が用意され、毎年利用範囲の拡大が行われています。

2021(令和3)年分からは、スマホ申告の対象範囲に特定口座年間取引報告書(上場株式等の譲渡所得等、配当所得等)、上場株式等の譲渡損失額(前年繰越分)及び外国税額控除が追加されます。これにより、スマホ申告の対象範囲は以下のとおりとなります。

(対象所得)

・給与所得  ・雑所得  ・一時所得
・特定口座年間取引報告書(上場株式等の譲渡所得等、配当所得等)
・上場株式等の譲渡損失額(前年繰越分)

(各種控除等)
・すべての所得控除  ・政党等寄附金特別控除  ・災害減免額
・外国税額控除  ・予定納税額  ・本年分で差し引く繰越損失額


また、スマホのカメラで「給与所得の源泉徴収票」を撮影することで、その記載内容を直接入力しなくても、スマホ専用画面の該当項目に自動入力できるようになりました。誤入力防止や入力の簡便化が進み、スマホ申告の利便性が一層向上します。

2.パソコンによる確定申告の利便性向上

パソコンにより送信(申告書提出)を行う場合、「ID・パスワード方式」と「マイナンバーカード方式」とがあります。「ID・パスワード方式」では、確定申告用のIDとパスワードを利用する方式で、マイナンバーカードやマイナンバーカード読み取りのためのカードリーダーは不要です。しかし、ID・パスワード発行のため税務署に来訪し、税務職員との対面による本人確認を受ける必要があり、手間がかかりました。一方、「マイナンバーカード方式」は、マイナンバーカードがあれば利用可能で、手間はかかりません。ただし、マイナンバー読み取りのためのカードリーダーが必要で、あらかじめカードリーダーの購入・設定をしなければなりませんでした。つまり、いずれの場合でも、思い立った時にすぐに確定申告書の作成から送信(申告書提出)までを完了することは難しいこととなっていました。

2021(令和3)年分確定申告から、「マイナンバーカード方式」でカードリーダーを使用しない方法が始まります。スマホのアプリ(マイナポータルアプリ)でパソコン上に表示された2次元バーコード(QRコード)を読み取ることでマイナンバーカードのデータを読み取ります。これにより、パソコンのほか、マイナンバーカードとスマホがあれば、特別な準備なしに確定申告書の作成から送信(申告書提出)までを完了させることができるようになりました。

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの商標または商標登録です。

操作の概要は以下のとおりです。

(出典:国税庁HP)

3.マイナポータル連携の拡充

2021(令和3)年分から、マイナンバーカードのオンラインサービス「マイナポータル」からデータ取得して確定申告書への自動入力・自動計算ができる「マイナポータル連携」の対象に、「ふるさと納税」、「地震保険料」、「医療費」が加わります。

「マイナポータル連携」をすると、確定申告書へのデータの自動入力・自動計算のほか、①一回設定すれば、毎年情報取得が可能、②データ取得するので、書類の保管・管理が不要、③今後も対象の情報が拡大予定(年金の源泉徴収票など)などのメリットがあります。

現在のマイナポータル連携の対象は以下のとおりです(一部例外があります)

(1)医療費控除の医療費通知情報※(原則として保険診療分のみ)
(2)ふるさと納税の寄付金受領証明書等
(3)生命保険料控除の生命保険料控除証明書
(4)地震保険料控除の地震保険料控除証明書
(5)住宅ローン控除の年末残高証明書・住宅借入金等特別控除証明書
(6)株式等に係る譲渡所得等の特定口座年間取引報告書

※医療費について、2021(令和3)年分の確定申告では、2021(令和3)年9月~12月分の医療費通知情報(保険診療分)が2022(令和4)年2月上旬にマイナポータルから取得可能となる予定です(2022(令和4)年分以降は1年間を通した医療費通知情報(保険診療分)が取得可能となる予定です)。


年を追うごとに確定申告の電子化は進み、利便性は高まっています。すでに確定申告を電子申告されている方も、確定申告の時期には、毎年電子化の範囲を確認するとよいと思います。

掲載元リンク

公益財団法人生命保険文化センター https://www.jili.or.jp/kuraho/essay/2022/8440.html