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2018.02.21

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2017年分確定申告のポイントについてエッセイを執筆しました(2018.02)

ぜひとも注意したい盲点

今年も確定申告の季節がやってまいりました。毎年のことなので、「恒例で慣れている」あるいは「自分は関係ない」など、確定申告の変更点につき特に意識しない方もいらっしゃいますが、実は、税制改正や社会情勢の変化によって少しずつ変わっています。今回は、そのうち盲点とも言える3つのトピックをご紹介いたします。

1.セルフメディケーション税制

2017年から新設された「セルフメディケーション税制」は、一定の医薬品の購入費が所得控除の対象となる制度です。控除対象額は、年間1万2千円超の部分であり、上限が8万8千円となっています。類似の制度、医療費控除は医薬品購入費のほか治療費なども控除対象となり範囲が広くなりますが、控除対象額は、多くの方が年間10万円超の部分となり、ハードルが高くなっています。つまり、「セルフメディケーション税制」では日頃健康で、医療費があまりかからない人でも控除をうける可能性が広がったといえ、大いに歓迎したい制度です。

ただし、いくつかの条件があるので注意が必要です。対象となる医薬品は限定されていること(対象となる医薬品の多くは、「セルフメディケーション 税控除対象」という共通識別マークが記載されています)、控除対象の年(今回は2017年中)に定期健康診断、予防接種など一定の健康のための取組みをしていることなどです。また、医療費控除との選択制となっているので、どちらにも該当する方は有利な制度を選択すると良いでしょう。

2.ふるさと納税

ふるさと納税の制度もかなり浸透してきました。ふるさと納税をするときに、ワンストップ特例の申請をされている方も多いと思います。ワンストップ特例は、確定申告をしなくてもふるさと納税の寄付金控除が受けられる制度ですが、先ほどのセルフメディーション税制の控除や医療費控除などを受けるため、あるいは中途退職した場合など、確定申告につき、年の初めには想定しておらず、後日必要になった方は注意が必要です。

確定申告をするときは、事前にワンストップ特例の申請をしていた場合でも、ワンストップ特例が使えなくなります。この場合、確定申告書に「寄付金控除」としてふるさと納税の金額を記載することとなります。記載漏れとなることがないように十分な注意が必要です。

3.仮想通貨取引

昨年大きく注目されたものとしてビットコインをはじめとする仮想通貨取引が挙げられます。仮想通貨の売買で利益を上げた方もいらっしゃるでしょう。この仮想通貨取引による利益(所得)について、昨年12月に国税庁からFAQが出され、仮想通貨取引で得た利益は、原則、雑所得として申告が必要となることが明確となりました。ただし、給与所得のみを有する方で、仮想通貨取引による雑所得をはじめとした他の所得が年間20万円未満の方は確定申告不要です。

なお、一点、特に盲点となりやすい点があります。仮想通貨取引をした場合だけでなく、仮想通貨を使って物品やサービスを購入した場合も、仮想通貨取引があったとされる点です。物品やサービス購入のため仮想通貨を使った時の価格が、仮想通貨購入時の価格より上がっていれば、利益(所得)があったとされ、原則確定申告の対象となります。

仮想通貨による決済に対応する店舗や通販サイトなどが徐々に広がってきています。うっかり申告漏れとなることがないよう注意したいですね。

今回は、確定申告の3つのトピックにつきご紹介いたしました。このほかにも、細かな改正点があります。年に1回、毎年の恒例ですが、年に1度だからこそ、思い込みで対応するのではなく、新しい制度や取扱いについて簡単に確認してみると良いと思います。

掲載元リンク

公益財団法人生命保険文化センター https://www.jili.or.jp/kuraho/2017/essay/web11/web11.html